残業代(時間外手当)の計算方法とは?割増賃金率・計算式をわかりやすく解説【2026年版】

1. 残業代(時間外手当)とは?

残業代(時間外手当)とは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた場合に、通常の賃金に加えて支払われる割増賃金のことです。労働基準法第37条によって雇用主に支払いが義務付けられています。

正社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、労働基準法の適用を受けるすべての労働者に発生します。会社から「残業代は出ない」と言われていても、法定時間を超えた労働に対して残業代を払わないことは原則として違法です。

📌 残業代が発生する3つのケース
  • 時間外労働:1日8時間・週40時間を超えた労働
  • 深夜労働:午後10時〜午前5時の間の労働
  • 休日労働:週1日の法定休日に行った労働

2. 法定労働時間と割増賃金率

労働基準法が定める割増賃金率は、残業の種類・時間帯・時間数によって異なります。以下の表で整理します。

種類 条件 割増率
時間外労働(通常)月60時間以下25%以上
時間外労働(長時間)月60時間超50%以上
深夜労働22時〜5時25%以上(時間外と合算あり)
休日労働(法定休日)週1日の法定休日35%以上
休日深夜法定休日の22時〜5時60%以上
⚠️ 月60時間超の割増率に注意

2023年4月から中小企業にも月60時間超の割増率50%が適用されています。それ以前は大企業のみでしたが、現在は企業規模を問わず適用されます。深夜労働が重なる場合は割増率が合算(例:時間外25%+深夜25%=50%以上)されます。

3. 残業代の計算式

残業代の基本的な計算式は次のとおりです。

── 基本計算式 ──
残業代 = 時給 × 割増率 × 残業時間

── 計算例 ──
時給2,000円 × 1.25 × 10時間 = 25,000円

── 深夜残業(時間外+深夜)の場合 ──
時給2,000円 × 1.50 × 3時間 = 9,000円

「割増率」は小数で表します。25%割増なら1.25、50%割増なら1.50、35%割増なら1.35です。時給の求め方については次のセクションで解説します。

4. 月給から時給を計算する方法

月給制の場合、残業代計算に使う時給(1時間あたりの賃金)は月給から算出します。

── 時給の計算式 ──
時給 = 月給 ÷ 月の所定労働時間

── 月の所定労働時間の求め方 ──
月の所定労働時間 = 年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12

── 計算例(月給25万円・週5日・1日8時間勤務)──
年間所定労働日数:約240日
月の所定労働時間:240 × 8 ÷ 12 = 160時間
時給:250,000 ÷ 160 = 1,563円

月給に含めない手当に注意

時給の計算に使う「月給」には、すべての手当を含めるわけではありません。以下の手当は残業代の算定基礎から除外することが労働基準法で認められています。

除外できる手当 理由
家族手当(扶養家族数によるもの)個人的事情に基づく手当
通勤手当実費弁償的性格
住宅手当(住宅費に応じて定額)個人的事情に基づく手当
別居手当・子女教育手当個人的事情に基づく手当
臨時に支払われた賃金・賞与臨時・一時的支給

住宅手当でも一律に支給されている場合は除外できないなど、名称ではなく支給の実態で判断します。不明な点は会社の人事担当や労働基準監督署に確認しましょう。

5. 年収別・残業時間別シミュレーション表

月給別・月残業時間別の残業代早見表です。割増率25%(月60時間以下の通常残業)・月の所定労働時間160時間で計算しています。

月給 時給(目安) 月残業10時間 月残業20時間 月残業30時間
20万円 1,250円 15,625円 31,250円 46,875円
25万円 1,563円 19,538円 39,063円 58,594円
30万円 1,875円 23,438円 46,875円 70,313円
35万円 2,188円 27,344円 54,688円 82,031円
40万円 2,500円 31,250円 62,500円 93,750円

※ 所定労働時間160時間・割増率25%で計算した概算です。通勤手当等の除外手当がある場合や所定労働時間が異なる場合は実際の金額と異なります。

6. 残業代が出ないケースに注意

法律上、一定の条件を満たす場合は残業代の支払い義務が免除または変形される制度があります。ただしいずれも要件が厳しく、名目だけでは適用されません。

管理監督者(管理職)

労働基準法上の「管理監督者」は時間外・休日労働の割増賃金規定が適用外です。ただし深夜割増は適用されます。管理監督者に該当するには、経営方針への参画・労働時間の裁量・高い待遇など実態が伴っていることが必要です。

みなし残業(固定残業代)

あらかじめ一定時間分の残業代を月給に含める制度です。固定残業代が設定されている場合でも、超過した残業時間分は別途支払い義務があります。また、固定残業代として支払われる時間数・金額が明示されていない場合は無効と判断されることがあります。

裁量労働制

専門業務型・企画業務型など、対象業種・要件が法律で限定されています。裁量労働制の場合も深夜・休日労働の割増賃金は発生します。

💡 固定残業代でも超過分は請求できる

「みなし残業代として月30時間分含む」と契約書に明記されていても、実際の残業が30時間を超えた場合、超過分の残業代は別途請求できます。固定残業代は「上限額」ではなく「あらかじめ支払う一定額」です。給与明細で固定残業代の時間数と実際の残業時間を必ず照合しましょう。

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7. よくある質問(FAQ)

残業代は翌月払いでもいい?
労働基準法上、賃金は毎月1回以上・一定期日に支払う義務があります。翌月払いでも法定の支払日を定めている限り問題ありません。ただし1ヶ月を超える支払い遅延は違法です。
アルバイトにも残業代は発生する?
発生します。パート・アルバイトも労働基準法の適用を受けるため、雇用形態に関わらず1日8時間・週40時間を超えた労働には割増賃金の支払いが必要です。
残業代の時効は?
2020年4月1日以降に発生した賃金請求権の時効は3年です(それ以前は2年)。過去3年以内に未払い残業代がある場合は労働基準監督署への相談や法的手段が有効です。
会社から「固定残業代に含まれる」と言われた
固定残業代として認められるには、何時間分の残業代としていくら支払うか明示されている必要があります。時間数・金額が明示されていない場合は無効の可能性があります。また明示されていても超過分は必ず請求できます。
管理職なのに残業代がもらえないのは正しい?
「名ばかり管理職」は違法です。管理監督者の除外規定が適用されるには、経営への実質的な参画・労働時間の自由裁量・相応の待遇がすべて伴っていることが必要です。役職名だけで残業代をカットするのは認められません。